司法試験の解答例・再現答案の使い方

司法試験の解答例・再現答案の使い方

司法試験の

「解答例」「模範答案」「再現答案」等々、種々様々な答案例がありますが、それぞれの使い方についてコメントさせて頂こうと思います。

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本番での理想の答案

理想の答案は上位合格答案

答案例を見る際に、皆さんが何を求めるかによって何をどう見るべきかが変わってきます。ただ、一番多いのは「この問題ではどんな論述をすれば合格レベルなのだろうか」というのを確認する為に見る事が多いのではないのかなと思います。

本番での理想の答案とは、つまり上位合格答案です。

着目すべき点は、設問の「問われている事」に対して、シンプルに答えている点です。論述の流れも、重要でないと思われる論点はアッサリと判例の結論だけを踏まえた記述で、その設問において重要だと思われる論点にはしっかりと法的三段論法を用いて問題提起・規範定立・あてはめ・結論と流れていきます。

時間配分も考えて、配点ごとに論述量を考えてあり、途中答案はもっての他。

論文を書いていてなんだかやたらごちゃごちゃとしていて文章の流れが悪くなるのは、おそらく筋が悪い解答をしているからでしょう。

上位答案を読むのは、あくまで上位答案のイメージを作るためであり、暗記する意味はありません

上位合格答案を見る際の注意

ただ、上位合格答案は確かに参考になりますが、注意点もあります。

制限時間内で書かれたものに過ぎない

司法試験の問題は、一度でも検討した事がある方は分かると思うのですが、とにかく分量が多いです。それなりに時間をかけて検討してみたつもりでも、解説を見てみたら全く気が付かない論点があったというのは普通の事です。

つまり、時間的制約がある為に、全ての論点を拾いきれている訳ではないし、論じられている部分であっても必ずしも正確な論述とは限りません。上位合格答案といえども、時間ギリギリの中で、重要な問題の所在だけは触れ、細かい論点も多少拾いつつも、途中答案にならない様にコンパクトにコンパクトに書いて行く様に心掛けて出来上がる、妥協の産物なのです。

そもそも司法試験においては、完全に問題を分析して全ての論点を取りこぼす事無く論じる事は想定されていません

しかし、逆を言えば、出題者がその問題において重要な問題だと考えている論点をしっかり書けていれば、ある程度瑣末な論点を落としたところで合否にはさほど影響は無いという事です

あくまで「当時の」上位答案である事

試験が終わると、出題趣旨・採点実感・各予備校教師の解説や法律雑誌での解説等、当時は知らなかったり気が付かなかったとしても、タネ明しがされてしまうとそれは過去問を検討した事のある受験生の「常識」に近い知識となってしまいます。

過去問の知識が手を変え品を変え出されることもある以上、全部ではないにしても直近から数年分すら検討したことが無いというのはお話にならないので、合格する受験生は検討しています。

当時の上位答案を見て「ははぁ、この論点は書けなくても大丈夫だな。」と安心し切ってはいけません。細かすぎたり、商法や民事訴訟法の一部に出てくるヘンテコでセンスが感じられない論点以外は出題可能性があります。繰り返し出てきたときに、他の合格レベルの皆さんは書けるけれども、自分は書けなかったというのではダメージが大きくなってしまうので注意が必要です。

「お化粧」答案に注意

当然ながら本番に書いた答案そのものではありません。再現答案といえども、それは後で時間をたっぷり使って書いているのが多いでしょう。注意して頂きたいのは、本番では気が付かなった論点や、やたら論述の補強をして重厚な文章になっていることもあります。

ものにもよりますが、たまに論理がおかしい部分もある、やけに論述があっさりしている、というくらいの方が信用できる再現答案かもしれません。

その他各種答案例の使い方

学者の解答例

先に言っておきますが、例えば辰巳法律研究所から出版されている刑法過去問解説本の前田先生の様な、司法試験に理解のある学者先生のお書きになった論述例の事ではありません。また、紙面に限りがある為にコンパクトになっている場合も除きます。「こんなもの現場で再現できない」と思う論述例を典型例としてここで言及して行きます。

学者の論述例の特徴は、基本的には長い。悪い意味で冗長な事が多いです。人にもよりますが、解説中で触れるならともかく、論述の中でも学説について学説として言及していたり、「判例では~」等と謎の前置きをおいてみたりと、形式面ではあまり参考になる部分は多くは無いでしょう。

後述の様に、予備校スタッフの作成する解答例の様にやたら論点にも細かく触れていくこともあります。

ただ、流石に学者だけあって、少なくとも判例の結論や多数説等に触れる際の論理面では信頼は置けます。もっとも、「ほんとかそれ」というような学者独自の学説が出てしまっている所は注意が必要です。

予備校スタッフの作成する答案例

予備校が出す「パーフェクト答案」的なものを念頭において言及して行きます。辰巳の過去問解説パーフェクトは、民事系の一部しか使ったことはありませんが、その部分は大丈夫です。もっと、辰巳に限らずTKC模試の解説とかでも配布されるような答案例です。

顕著な特徴としては、とにかく長い。もっさりのっぺりしています。なぜそうなってしまうのかを考えると、学者答案の一部もそうなのかもしれませんが、「こんな論点があること分かっていますよ」という事なのかもしれません。いずれにしても、司法試験本番の論述として参考にすべき点は少ないです。

論点部分も、その記載が使えることはありますが、「予備校ドグマ」のような予備校が独自に作り出した論述が紛れている場合があることにも注意が必要です。

実績ある予備校講師の解答例

問題が少ないので、一番言及することが少ないです。

実績を出している予備校講師の「現場で書くことを考えればこんなもん」というスタンスの論述例であれば、基本的には信頼して良いでしょう。理論的にどうしても納得できないところは適宜自身で補強する等しましょう。

結局、現場作業的観点から見て、何だかんだで一番バランスがいいのは、やはり実績を出している予備校講師です。タネ明かしも見たうえで「今の受験生が知っていなければいけない」論点的にもカバーしてくれているはずですから。

終わりに

予備校講師を褒めて終わるような書き方になってしまいましたが、別に予備校講師を褒める意図ではなく、「現場で書けるとしたら」、「現場で答案を書き切るとしたら」、「当時はみんな知らなかったけど今はここまで知っておいて欲しいから」と言う様な観点からみて素晴らしいのはそれだというだけの話です。

また、全ての問題に素晴らしい解説が見つかるわけではありません。しっかりと答案作成スタイルを身に着けて、そのスタイルで生かせるような形で解答例を参照しましょう。学者答案・予備校スタッフ作成答案は、あくまで論点的に参考にするものであって、それに答案スタイルを引きずられてはいけません。

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